PF〜the world 設定

<<背景世界>>

 この大陸を創生した魔導師の末裔の集団『アカデミー』は、2年前までは右の地図の3分の2ほど支配していました。
 末裔たちといっても、純粋な血統を持つ者は数百人もいません。
 お互いに戦い合う呪いを受けた一族で、滅亡の一途を辿っています。
 ですが、それと運命とは相反するように、彼らは限りなく不死に近い存在で、魔法や同族による攻撃以外ではまず死にません。
 また、年老い、老衰で死ぬのかどうかもハッキリしていません。

 人間離れしている彼らではありますが、もともとは人間です。
 自称「神」が作った楽園で罪を犯し追われ、この地に逃げてきたのが始まりと言われています。
 そんな楽園が実在したかどうかは分かりません。

 『アカデミー』の支配は長く続きました。はっきりとした事実はありませんが、千年以上に及んだといわれています。
 しかし、それがたった2年前の覚醒の塔で起きた事故で、ただでさえ少ない純血種の有力者たちの多くが死亡、または行方不明になり、その支配は一気に崩れ去ります。
 事故の原因は未だ不明ですが、たとえ事故が起きなかったとしても、遠く無い未来には同じことになっただろうというものもいます。

 この時の指導者フェルザーも行方不明になり、暫定的に後継者として選ばれたのは12導師筆頭ミラード(行方不明)の実妹「水姫」フィーユです。彼女はこの時点で存在する魔導師たちの中でもっとも強い魔法力を持っていたと言われています。
 しかしフィーユは見た目は10代の少女にしか見えないので、当然ながら「小娘に従えるかっ!」と言わんばかりにその決定に従わない者が現れました。
 有力者の中の最長老「千年樹」マードゥ、北東移民団の長「風の君」フォスなどがまず叛旗を翻しました。
 特にマードゥは最長老なだけに怒りをあらわにし、アカデミー領の東部一帯を瞬く間に支配下に置き、さらには自ら皇帝と僭称し、ミルドリア帝国を建国します。実際には十数年前から根回しをしていたという話もあります。
 ただ、アカデミー主流派と対立していた静寂派の導師たちは、武力闘争を避ける手段を研究しており、叛旗を翻さず中立を保ちました。
 アカデミーは完全に3分してしまいました。
 さらに、これを機にアカデミーに臣従していた力を持たない人間の諸族が叛乱を起こしました。
 また、その混乱に乗じ大河ラプを渡ってきたナムリアス王国が南部の自治都市群を脅かし、混乱した辺境地域には山賊や海賊といった勢力が活動を強めました。
 結局、アカデミー本体は覚醒の塔周辺とその北にあるオズーレ海南部を領有するだけになってしまいました。

<出典:シャトラナザム市西部「研究塔」遺跡より発見されたある歴史研究員のメモより>